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詩や評や、狼編集室・文芸誌「狼+」、「古書郁屋」の情報、雑記・日記等の内容が提供されます。



光冨いくや詩編
ひとの声


会うことのないひとたちの声
こころの輪郭(かたち)の外がわから
(空腹と眠気とにさいなまれながら
物をたたく乾いた風の音と
建物をきしませる低い空がおおう

ここから離れた場所
見知らぬひとの
(いや生まれる前にどこかであった顔かもしれない
その裾にふれてみる

ひびわれた街に
いく層もの
窓に映るひとたちの輪郭(かたち)
絶えまない車の列に
(これは現在(いま)であろうか、それともずっと過去(まえ)であろうか
寸断されては、また繋がっていく

枯れた枝先に空がささる
そのかたむく並木道に
茶色の手袋が置き忘れられて
ひとの抜け殻がうまれている

会うことのないひとたちの
それぞれの温もりに
そっと指をおいてみる
(その先にある駅の向こうまで

大きな翼の影に日が落ちて
(そむかれる、その白い顔に両の手をそえる

わたしは胸に手を置きながら
気づかないふりをして
会うことのないひとたちの声をまとう






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